共感する姿勢を忘れずに

介護士の仕事で感情的になってしまった時、あるコツを心にとめておくことで切り抜けられる場面がある。それは介護を受ける人の気持ちを一番に考え、相手に共感する姿勢を意識してみることだ。介護士も人間であり、いろいろな感情をセーブしながら、仕事をこなしている。高齢者は、感情を自分でコントロールすることが困難な場合が多くあると言われている。介護士が一生懸命介助を行っているのに心無い言葉を浴びせたり、物がなくなったからと介護士のせいにしてみたり、どうしてと疑いたくなる場面もあるようだ。ここで、介護士が自分の感情をコントロールできなくなり、言い返してしまったりすると、気まずい雰囲気になりその人との信頼関係が築きにくくなってしまうことになる。人間はその時の精神状態で、同じ出来事であるにもかかわらず抱く感情や反応が違ってくることがあるが、このことを思い出してみるとよい。

感情が高ぶった時ほど、一度深呼吸をして気持ちを落ち着かせることが必要になってくる。それから相手もどんな気持ちで言ったのだろうか、本心ではないのにイライラをぶつけてきたのではないのだろうかと、相手の立場に立ってみるのである。本当に何も考えずに言っている場合もあるだろうが、時には自分の抱えている不安や悩みが行動を引き起こしていることもある。介護士自身が高齢者になった時、どんな状況でも冷静を保てるのだろうか。自分の置かれている環境に対し、不安でたまらなくなることもあるのではないか、などといろいろな視点から考えてみることが、高齢者を理解しようとする行動につながる。共感する姿勢は、日頃より意識することで身についていくものと思われる。